セラミックコーティング施工車にワックスや別の溶剤を使用しても大丈夫?

濡れたような深みのある艶が特長の「カーワックス」は、ガラスコーティングが主流となった今でも、一定の支持を得ている商品です。「セラミックコーティングとカーワックスを併用してさらに艶感を強くしたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。

しかしながら、セラミックコーティング施工車にカーワックスの使用はおすすめしません。この記事ではコーティング施工車にワックスを使用してはいけない理由や、コーティング施工後の正しいお手入れ方法を中心に解説していきます。

ワックスやセラミック商品の特徴や、市販されているコーティング施工車専用ワックスについても紹介していますので、お手入れするうえで参考にしてみてください。

【結論】セラミックコーティング施工車にワックスの併用はNG

セラミックコーティング施工車にワックスの併用はNGであることを解説するイメージ

冒頭でもお伝えした通り、セラミックコーティングやガラスコーティング施工車にワックスの使用はおすすめしません。具体的な理由は2つあります。

  • セラミックコーティングは美しい艶と防汚性能を兼ね備えている
  • ワックスが劣化してコーティング被膜に悪影響がでやすい

セラミックコーティングの魅力や、ワックスを使用するリスクについて分かりやすく解説していきます。

セラミックコーティングは美しい艶と防汚性能を兼ね備えている

セラミックコーティングは現存するコーティングの中でも最上級の品質を誇ります。施工店の徹底した下地処理と、品質の高いコーティングの組み合わせにより圧倒的な艶と防汚性能を兼ね備えています。

定期的なお手入れにより美しい艶を維持できるため、わざわざワックスを塗る必要はありません。後ほど詳しく解説しますが、艶感が落ちたように見える場合は、施工店でのメンテナンスやクリーナーによるお手入れで艶を元通りにできます。

ワックスが劣化してコーティング被膜に悪影響がでやすい

ワックスは「ヌルテカ」の艶感が魅力的である一方で、耐久性が低く熱や紫外線に弱い特性があります。

施工直後は美しい状態であったとしても、時間の経過と共に劣化が進み溶けてしまいます。また、ワックスが形成する被膜は有機系で、花粉や排気ガスが付着しやすいため、注意が必要です。

そのまま放置すると、汚れが固着しセラミックコーティング被膜にまで影響が及び、ワックスが溶け出した跡がムラになったり雨シミができやすくなったりします。

コンパウンド(研磨剤)が含まれたワックスも販売されており、使用するとセラミックコーティングの被膜が剥がれてしまう可能性があります。

カーワックスの特徴と魅力

カーワックスの特徴と魅力について解説するイメージ

「そもそもカーワックスがどのようなものなのかよく分からない」という方もいるのではないでしょうか。カーワックスやコーティングは、車の塗装を紫外線や汚れから守るために生み出された商品です。

カーワックスの主成分は「カルナバロウ」というヤシ成分の天然の蝋で、ボディに塗り広げることで撥水効果を付与できます。また、非常に被膜が厚く、ワックス特有の油脂成分によりしっとりとした艶感を出せます。

油脂成分が細かい傷を埋めてくれるため、キレイになったように見えやすく、被膜が固まらないことから誰でも施工しやすいといった魅力もあります。

一方で、樹脂成分で被膜が柔らかいため耐久性が低く、溶け流れた成分がムラになったり、塗装に悪影響を与えたりするといったデメリットがあるため注意が必要です。定期的に施工し直す必要があり手間がかかることから、近年は耐久性のあるガラスコーティングが主流となっています。

セラミックコーティングの特徴と魅力

セラミックコーティングの特徴と魅力について解説するイメージ

セラミックコーティングは、金属・窒素・酸素・炭素の化合物などを主成分としており、耐紫外線性や耐スクラッチ性においてガラスコーティングを超える高い効果を発揮します。重ね塗りのできるものが多く、被膜を厚くできることから、深みのある美しい艶を付与できます。

寿命は5~7年ほどと言われており、定期的に再施工する必要がありません。メーカーごとで特徴や魅力が異なり、ボディの熱により細かい傷が消える「自己修復機能」を持つ商品もあります。

近年はDIY用の商品が販売されているものの、メーカーの認定を受けた専門店での施工が一般的です。費用相場が12~30万円と、ガラスコーティングと比べても高額であることがデメリットと言えるでしょう。

また、最上級の品質を誇るものの、完全に雨シミなどを防げるわけではなく定期的なお手入れやメンテナンスが必要です。セラミックコーティングのメリット・デメリットについては、下記記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。

参考記事:セラミックコーティングとは?メリット・デメリットや価格相場について解説

セラミックコーティング施工後の正しいお手入れ方法

セラミックコーティング施工後の正しいお手入れ方法について解説するイメーージ

コーティング施工から時間が経ち、最初の艶感が無くなったため、ワックスの使用を考える人は少なくありません。しかしながら、正しくお手入れすることで、施工直後のような艶感に戻せる可能性があります。

ここでは、セラミックコーティング施工車のお手入れ方法について解説していきます。

水弾きや光沢が低下した場合はメンテナンスがおすすめ

コーティングの水弾きが弱くなったり、光沢が無くなったりする主な原因としては、汚れの固着が考えられます。撥水性能により固着しにくくなっているものの、時間が経つと共に汚れが蓄積してしまいます。

軽度な汚れであれば手洗い洗車できれいにできるものの、洗車しても改善しない場合は、施工店でのメンテナンスをおすすめします。専用の溶剤でシミや汚れを取り除き、トップコートを塗り直すといった処置を施すことで、水弾きや光沢が復活します。

お店にもよりますが、ボディ状態に合わせて複数種類のメンテナンスメニューが用意されていますので、まずはお店のスタッフに症状を相談してみましょう。メンテナンス費用はコーティング施工費用の1~5割が相場です。

軽度なシミは専用クリーナーによるお手入れも可能

軽度なシミであれば、メンテナンスクリーナーを使って自分でお手入れすることも可能です。使用方法は商品によるものの、洗車後にボディが濡れた状態でクリーナを付けたスポンジで優しくこすっていきます。

ただし、セラミック商品によってはクリーナーに指定があるため、市販の商品を自分の判断で使用しないようにしましょう。自分で作業する場合も、まずは施工店への相談をおすすめします。セラミックコーティング施工車のメンテナンス方法については、下記記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてださい。

参考記事:セラミックコーティングのメンテナンスを自分でする方法や注意点を解説!

コーティング施工車専用ワックスについて

コーティング施工車専用ワックスについて

近年は「コーティング施工車専用ワックス」も販売されており、固形のものやワックススプレーといった種類があります。コーティング施工車用ワックスは、研磨剤が配合されていないことが主な特長と推測されます。

該当する複数の商品をリサーチしてみましたが、、成分は天然カルナバ蝋配合となっているため、コーティングに合わせて成分内容を変えているわけではないと思われます。

そのため、施工車にワックスを使った場合のリスクがなくなることはないと言えます。絶対に使用してはいけないというわけではないものの、自己責任で施工するようにしましょう。

セラミックコーティングの施工から数年以上経過しており、被膜が残っておらず再施工が必要な状態であれば、ワックスを塗っても問題ないでしょう。

艶感を重視したい場合は「ポリマーコーティング」もおすすめ

艶間を重視したい場合は「ポリマーコーティング」もおすすめ

どうしてもワックス特有の「ヌルテカ」な艶感が良いという場合は、ポリマーコーティングもおすすめです。ポリマーコーティングはフッ素やシリコンといった高分子化合物を主成分としており、樹脂系コーティングとも呼ばれます。

しっとりとした艶感が一番の特徴で、ワックスよりも寿命が長く3~6ヶ月の間、効果が持続します。専門店やカーショップでの施工が可能であり、簡易的な下地処理も含めて2~3万円で施工可能です。

ワックスよりは値段が上がるものの、DIY用の商品も販売されています。

最適なお手入れ方法でカーライフを楽しもう

記事をまとめるイメージ

セラミックコーティング施工車の場合、被膜などに悪影響となるためカーワックスの併用はおすすめしません。施工から時間が経ち水弾きは光沢が落ちてきた場合は、施工店でのメンテナンスを検討してみましょう。

施工商品によっては、自分で施工できる専用のメンテナンスクリーナーが販売されています。まずは施工店に相談したうえで自分でお手入れできるクリーナーがあるか質問してみましょう。

近年はコーティング施工車専用のワックスがあるものの、全くコーティング被膜に影響が出ないとは限りません。使用することでセラミックコーティングの保証が無くなる可能性もあります。施工したコーティングに最適な方法でお手入れするようにしましょう。