車のレザーシートをきれいに保つうえで、欠かせない存在と言えるのが「レザーシートコーティング」です。ボディコーティングほどメジャーなものではないため、最近になって知ったという方もいるでしょう。
レザーシートコーティングは、乗り降りの際に起こる摩擦や太陽光の紫外線からレザーシートを守ってくれます。施工を検討しているものの効果が良く分からず「本当に必要なのか」と悩む方も少なくありません。
今回は、レザーシートコーティングの施工メリットや料金相場を中心に、施工経験豊富なプロが分かりやすく解説していきます。DIY施工の方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
レザーシートコーティングの必要性
ネット上でレザーシートコーティングについて調べると「必要ない」といった情報も見受けられます。効果を実感したことがない場合「お金が無駄になるのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。しかしながら、レザーをキレイな状態で保つうえで、コーティングは必須と言えます。
愛車に乗り続けているうちに、レザーシートにダメージが蓄積されてしまい、破れや変色を引き起こしてしまうためです。
・乗車中や乗り降りの際に発生する摩擦でシート表面が擦り減ってしまう。
・直射日光(紫外線)によるダメージの蓄積で表面が変色してしまう。
・衣服が雨や汗で濡れたまま運転することで、劣化に繋がる。
・飲み物や食べ物をこぼしたことによる汚れの浸透や腐食。
レザーコーティングは、このような劣化の原因からレザーシートを保護するだけでなく、キレイな状態で保つためのお手入れもしやすくなります。
レザーシートコーティングの仕組みと効果
レザ―シートコーティングの仕組みは、ボディコーティングとほぼ同じであり、レザー表面に保護層を形成させて、劣化や汚れを防ぎます。保護層にはシリコーンやポリマーなどが含まれており(※商品による)、以下のような効果を発生させます。
・撥水、撥油効果:水分や油分を弾くようになり、飲み物などがシートにこぼれても浸透を防ぎやすくなる。皮脂汚れなどにも効果的。
・柔軟性と弾力性の維持効果:形成された被膜は温度・湿度の変化からレザーを守るため、乾燥によるひび割れを防ぎやすくなる。
・紫外線カット効果:コーティング剤に含まれるUVカット成分が、紫外線からレザーを保護するため、色褪せなどを防ぎやすくなる。
完全に摩擦や色褪せを防げるわけではないものの、施工車と未施工車ではレザーの状態に大きな差が生まれます。また、撥水性能により汚れの固着を防げるため、お手入れもしやすくなり、キレイな状態を保ちやすくなります。
レザーシートコーティング施工のメリット
前述の通り、レザーシートコーティングを施工すると色褪せの防止や摩擦の軽減により、レザーをキレイな状態で保ちやすくなります。この他にも施工することで、以下のようなメリットを得られます。
・抗菌、防臭成分が含まれているものが多く、汗や食べ物の匂いが残りにくい。
・保護効果によりレザーの質感や艶が維持されるため、車内の高級感を保ちやすい。
このようにコーティング施工することで、さまざまなメリットを得られます。この他にも、シートをキレイな状態で維持できるため、売却する際に車の評価が下がりにくいといった効果もあります。施工の様子や撥水効果の実証実験は、以下の動画からご覧になれます。
動画引用元:トータルカービューティーIIC|YouTube
レザーシートコーティング施工の注意点
施工メリットの多いレザーシートコーティングですが、施工する際には、理解しておくべき注意点もあります。
・定期的なメンテナンスが必要
・DIY施工では施工不良のリスクがある
・全てのダメージを完全に防げるわけではない
レザーシートコーティングは、使用しているうちに摩擦などで被膜が劣化していきます。そのため、使用頻度に応じて1~3年に1回のメンテナンスが必要です。近年は、自分で施工できるDIYグッズが販売されていますが、正しく施工できていない場合、ムラやシミ、変色が起こる可能性もあります。
レザーは溶剤が浸透しやすいため、ムラやシミができた場合、簡単に消すことはできません。できるだけ経験豊富な専門店での施工を検討しましょう。この他では風合いに若干の変化を感じる方も中にはいます。
レザーシートコーティングの料金相場
レザーシートコーティングの料金は、お店が扱う商品によって異なります。当社の施工認定店である「カービューティーアイアイシー」を価格を参考にすると、以下の内容となります。
・フロント2脚:55,000円
・2列シート:88,000円
・3列シート:110,000円
また、多くのコーティング専門店では、シートの素材などによっても料金が異なります。高級輸入車やスーパーカーに関しては、追加費用がかかると考えておくようにしましょう。中古車のレザ―に施工する場合は、状態に応じてシートクリーニングも必要です。カービューティーアイアイシーのシートクリーニング料金は以下の通りです。
・2席:22,000円
・4席:33,000円
・6席:44,000円
レザーシートコーティングは、なるべく新車のうちに施工することをおすすめします。
レザーシートコーティングはDIY施工も可能
近年は、施工経験のない人でも気軽に施工できるDIY用レザーシートコーティング商品も販売されています。プロ仕様の商品ではなく、専門店での施工と比べると品質は下がるものの、施工費用を大幅に抑えられます。
ここでは、どのような商品が市販されているのか、施工方法や施工の注意点について解説していきます。
市販されているレザーシートコーティング商品の特徴
レザーシートは、液体が浸透しやすいため施工には細心の注意が必要です。均等に塗り広げられなかったり、拭き忘れたりすると、シミやムラの原因になるため、市販商品は施工のしやすさを最重視したものが多い傾向です。
また、コーティングに特化したものではなく、クリーナーにコーティング効果が備わったものが多い印象でした。スプレーして布で拭き取るだけで施工可能であり、料金は2,000~5,000円ほどが相場です。
市販の商品を購入する際には、実際に使用した方のレビューも参考にしながら選定してみましょう。
レザーシートコーティングの施工方法
前述の通り、レザーシートコーティングは、正しい方法で施工しなければムラやシミができてしまう可能性があります。特に経年シートの場合は、ムラができやすいため注意しましょう。レザーシートコーティングの一般的な施工手順は以下の通りです。
2:柔らかいクロスを固絞りしてから、レザーシート全体を優しく拭いていく。
3:クロスで表面の汚れを拭きとった後に、数時間ほど乾燥させる。
4:各コーティング商品の作業手順に沿って施工する
スプレー商品の場合、シートに吹き掛けて専用クロスで均等に塗り広げていくのが一般的です。スプレーは溶剤が広範囲に飛散しやすいため、拭きとり漏れに注意しましょう。
レザーシートコーティング施工の注意点
レザーシートコーティングを自分で施工する場合、シミやムラを発生させたり傷つけたりしないよう、以下の内容に注意しましょう。
レザーによっては、コーティング剤との相性が悪い可能性があります。初めて施工する場合は、目立たない箇所で試し塗りしたうえで仕上がりをチェックしてみましょう。
一気に塗りすぎると溶剤を拭き取っている間にシートが乾燥してしまうため「シート下部・シート上部・ヘッド部分」といった順番で分けて施工します。どこまで塗ったのか忘れないように注意が必要です。
この他にも、施工の際にはドアを開けて換気しながら作業するようにします。肌が弱い方は手袋やマスクを着用して施工しましょう。
専門店とDIY施工の違いについて
専門店での施工とDIY施工の違いは「使用する溶剤の品質」と「施工環境と施工技術」の違いがあります。プロ仕様の溶剤は、施工性よりも品質を重視して作られているため、施工が難しい分、仕上がりや耐久性に優れています。
専門店では、素材に詳しい職人が在籍しており、レザーの状態に応じて専用機材などを使用しながら下地処理を施します。その後、丁寧に施工していくため、ムラやシミの心配はありません。万が一施工不良があった場合も、お店側が対応してくれるため安心です。
施工後のメンテナンスメニューを準備しているお店もあり、ボディーコーティングなどのメンテナンスと一緒にお手入れを依頼できます。品質を重視したい場合は、専門店での施工をおすすめします。
レザーシートコーティング後のお手入れ方法
レザーシートコーティングの効果を長く維持するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。2~4週間に1度、あるいは汚れたタイミングでお手入れしましょう。作業手順は以下の通りです。
1:シートの隙間などに溜まったチリなどをハケや掃除機で取り除く。
2:固絞りした柔らかいクロスでシート全体を拭いていく。
3:別のクロスで乾拭きして完成。
この作業で落ちない頑固な汚れには、中性洗剤を少量溶かした水を含ませ、固く絞ったクロスで再度拭き取ってみましょう。レザーシートはケミカル成分に弱いため、洗剤を濃くしすぎないように注意しましょう。
中古車の場合はレザーシートクリーニングもおすすめ
中古車でレザーシートの汚れが目立つような場合は、シートクリーニングを検討しましょう。専用クリーナーや機材を使用しながら隅々まで汚れを除去していきます。
プロが丁寧に仕上げることで、シート本来の色合いが蘇り、コーティング効果も得やすくなります。レザー以外の素材であれば洗浄などによるクリーニングも可能ですので、臭いや汚れが気になる場合は検討してみましょう。
シートの状態にもよりますが、クリーニング料金は1〜2万円ほどかかります。また、洗浄と乾燥の工程を含め、3〜7日間ほどの時間が必要と考えておきましょう。
ハンドルや内装樹脂のコーティングも可能
車内のコーティングはレザーシートだけでなく、ハンドルや内装樹脂部分にも施工可能です。コーティング効果や施工メリットはレザーコーティングと同じです。汚れの固着を防ぎ、社内全体のお手入れがしやすくなります。
ダッシュボードに施工することで、直射日光による色あせを防ぎやすくなります。また、ハンドルの場合は摩擦による劣化を防げるうえに抗菌効果も期待できるため、衛生面が気になる方にも安心です。
箇所ごとに料金分けされていますので、気になる箇所があれば、レザーシートコーティングと一緒に施工を依頼してみましょう。
レザーシートコーティングに関するよくある質問
最後は、レザーシートコーティングに関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・レザーシートコーティングを施工するベストなタイミングは?
・中古車のレザーシートはコーティングできない?
・DIY用商品とプロ用のコーティング剤は何が違う?
施工のタイミングや経年シートへのコーティングに関する内容ですので、施工を検討するうえで参考にしてみてください。
レザーシートコーティングを施工するベストなタイミングは?
レザーシートコーティングの最適な施工タイミングは、新車購入時や中古車購入直後となります。新車の場合、レザーがまだ傷や汚れがない状態でコーティングを施すことで、シートの美しさや耐久性を長期間保てます。
また、中古車の場合、前のオーナーの使用状況によってはレザーが乾燥や摩耗していることが多いため、コーティング前にクリーニングを行ってから施工するのが理想的です。
DIY施工の場合は、施工環境が整えるのが難しいため、気温の暑い日や湿度の高い日は避けて施工しましょう。必ずしも合わせる必要はないものの、春や秋頃の施工が最適と言えます。
中古車のレザーシートはコーティングできない?
中古車のレザーシートでもコーティングはできます。ただし、表面が劣化によりひび割れていたりと状態が酷い場合は、施工を断られるケースもあるため、注意が必要です。
また、経年シートは汚れが固着していることが多く、そのまま施工してしまうとコーティング成分が定着する箇所としない箇所でムラが発生しやすくなります。
コーティング効果を長く維持することも難しいため、専門店のスタッフに相談したうえで、シートクリーニングの施工も検討してみましょう。
DIY用商品とプロ用のコーティング剤は何が違う?
DIY用商品とプロ用商品では、成分の濃度に違いがあると推測されます。DIY用商品は、誰でも気軽に使えるよう施工性が重視されている一方で、プロ仕様の商品は施工スキルのあるスタッフ向けで、施工性よりも品質の高さが重視される傾向にあります。
すべての商品を調査したわけではないため、明確な違いを断定はできませんが、このような傾向があると言えるでしょう。
レザーシートコーティングは特にどんな人がおすすめ?
レザーシートコーティングは、以下のような人に最適と言えるでしょう。
・子供を乗せることが多い
・ペットを乗せることがある
・車内のお手入れを楽にしたい
・食べ物の臭いなどで酔いやすい
子供が乗る場合、食べ物や飲み物をこぼしたり、車内で動き回ったりするためシートが汚れやすいと言えます。また、ペットを乗せる場合には、おしっこをしてしまう可能性もあります。
シートコーティングを施工していれば、万が一飲み物などをこぼしても、撥水効果により素材に浸透しにくく、簡単に汚れを拭き取れます。また、除菌消臭効果のあるコーティング剤であれば、食べ物などの臭いを消しやすくもなります。
ボディも内装もキレイな状態を維持してカーライフを楽しもう
レザーシートコーティングは、レザー表面にコーティング膜を形成させ、紫外線による色あせや摩擦による劣化を防ぎやすくなります。柔軟性や弾力性も維持できるため、乗り心地の良さを長持ちさせることも可能です。
近年はDIY用の商品も多く販売されており、費用を抑えて施工できます。ただし、DIY施工ではムラやシミができる可能性もあるため、注意が必要です。
品質を重視したい方や、施工が難しい経年シートには、専門店での施工をおすすめします。愛車をキレイな状態で維持しながら快適なカーライフを楽しみましょう。